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配管とは

1. 配管とは


私たちが暮らす家屋やマンションには、空調で用いるガスや生活水などを通す配管が設置されています。店舗やオフィスが入ったビルや工場などの建築設備では、さらに多くの配管が使用されています。

配管という言葉は、場面に応じて2通りの意味で用いられます。配管材料と配管工事です。

・配管材料

配管材料とは管(パイプ)のことで、円筒状の部材です。流体(液体や気体)や粉体の移送や、電線を外周の環境から保護するために用います。配管材料の主な素材は、鋳鉄やスチールなどの金属と、樹脂やコンクリートなどの非金属です。両者の複合であるライニング鋼も用いられます。

・配管工事

配管工事とは、管を切断・加工し、装置や設備に取り付ける作業を指します。代表的な配管工事の手順は、6ステップに分けられます。

1:材料の選定
流体や使用条件に適した配管材料を選定します。
2:管の切断・加工
必要な寸法に切断し、バリなどを除去します。
3:配管部材の取り付け
使用条件に合わせて、継手や弁類を適所に取り付けます。
4:テスト
水圧・気密テストなどを実施し、漏えいの有無などを確認します。
5:支持金物の取り付け
配管に、不要な応力がかからないように支持します。配管の防振・耐震対策も考慮します。
6:保温・保冷工事
断熱材を用いるなどして、保温・保冷工事を施工します。

2. 流体と配管の種類


配管内を流れる流体にはさまざまな種類があり、流体の種類によって配管名称が異なります。ここでは、液体配管、気体配管、粉体配管、配線保護用配管を紹介します。

・液体配管

液体配管は、液体を流体とする配管です。水配管と油配管に分類できます。水配管の流体には、飲料水、雑用水、排水、熱源水などがあります。
水配管の設置で留意する点は、管をできるだけ短くすること、配管の勾配に注意し空気だまりを作らないことです。設備の構造上の理由などで、どうしても空気だまりが生じてしまう場合は、空気抜き弁を取り付けます。冬季の注意点として、凍結により配管破損する可能性があります。

・気体配管

気体配管は、気体を流体とする配管です。流体には、蒸気、冷媒、特殊ガス、燃料ガス、空気(圧縮空気)などがあります(図3)。特殊ガス配管には、プロセス配管(プラントの機器をつなぐ配管)、医療ガス配管(医薬品医療機器法の規制を受ける医療用ガスの配管)、真空配管があります。
気体配管では、配管口径に注意する必要があります。配管口径が適切でない場合、管内の圧力や温度の変化によって、エネルギー損失が生じます。蒸気配管や冷媒配管では、流体の熱損失を防ぐため、配管に保温工事を施す必要があります。

・粉体配管

粉体配管は、粉体を流体とする配管です。粉体の移送方式により、吸引配管方式と圧送配管方式に大別されます。
粉体配管の難点は、管内に粉体が詰まりやすいことです。粉体詰まりの対策として、配管内部の表面が平滑な材料を選定する、配管の曲がり部が少ない設計にする、配管の曲がりを緩やかにするなどがあります。

・配線保護用配管

配線保護用配管は、配線を中に通して保護するための配管です。目的は、配線の保護、機材の劣化・損傷によるリスクの軽減、火災による燃焼防止、配線交換の簡便化などです。代表的な素材は、金属と合成樹脂です。金属製配管は強度に優れる一方、加工コストが高く、接地工事が必要です。合成樹脂製配管は、加工が容易な上、接地工事も不要です。迅速に施工でき、耐食性にも優れています。ただし強度面では、金属製配管に劣ります。配管を使用する環境や、部位に対応した保護用配管の選定が重要です。

3. 建築物の配管種類


家屋やマンション、店舗、商業施設などの建築設備では、水、湯、排水、通気、蒸気、冷温水、冷却水、冷媒など、さまざまな流体が使用されています。そのため、配管の材料には、流体の種類や温度、圧力に耐えうる適切なものを選定し、使用する必要があります。建築設備で使用される配管には、給排水・衛生設備配管、空調設備配管、それ以外の配管の3つがあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

1:給排水・衛生設備配管

給排水・衛生設備配管には、給水管、給湯管、排水管、消火管があります。

・給水管
給水管は、建物内で使用する上水(飲料水)や雑用水を供給するための配管です。よく用いられる素材は、合成樹脂ライニング鋼管やステンレス鋼鋼管です。以前用いられていた素材は、水道用亜鉛めっき鋼管(SGPW:Steel Gas Pipe Water)でした。しかし、亜鉛の流出による白濁現象や、腐食による赤水の発生、さびこぶによる管の閉そく、継手部の孔食による漏水などが理由で、飲料水用配管としては不適切とされています。

・給湯管
給湯管は、給湯器や熱源機で熱された湯を、浴槽や台所、洗面台などへ供給するための配管です。即湯システム(すぐに湯が出る給湯システム)では、循環方式の給湯主管を採用しています。素材には被覆銅管、ステンレス鋼管、耐熱樹脂管が用いられます。

・排水管
排水管は、便器や排水器具から出る汚水を、建物外へ排出するための配管です。鋼管、ライニング鋼管、鋳鉄管、塩ビ管、耐火二層管などが用いられます。管の名称は、排水系統や使用される部位で異なります。

・消火管
消火管は、屋内消火栓やスプリンクラーなどの消火設備に使用される配管です。水配管として使用されることが多く、短時間で大量の水を移送します。管には大きな圧力がかかるため、耐圧性を備えた管材を選定します。

2:空調設備配管

空調設備配管には冷水配管、冷却水配管、温水配管、冷温水配管、蒸気配管、油配管、冷媒配管があります。

・冷水配管
冷水配管は、冷熱源機と冷房機器間で冷水を循環(還水)させるための配管です。亜鉛めっき鋼管(白ガス管)が多く用いられています。

・冷却水配管
冷却水配管は、熱源機器と冷却塔間で冷却水を還水させるための配管です。冷却塔で冷やされた冷却水は、熱源機器を冷やします。レジオネラ菌などの繁殖を防ぐため、内面被覆鋼管や、ステンレス鋼鋼管が多く用いられています。

・温水配管
温水配管は、温熱源機と暖房機器間で温水を還水させるための配管です。冷水配管と同様、亜鉛めっき鋼管(白ガス管)が多く用いられています。

・冷温水配管
冷温水配管は、1つの配管系統で冷水と温水を流すための配管です。冷房期には冷水、暖房機には温水を流します。亜鉛めっき鋼管(白ガス管)が多く用いられています。

・蒸気配管
蒸気配管は、蒸気ボイラーから発生する蒸気を、蒸気使用設備に供給するための配管です。病院やホテル、旅館などの大きな建物で使用されています。

・油配管
油配管は、油だきボイラーなどの機器に油を供給するための配管です。継手部分から油が漏れないように、溶接接合が用いられます。

・冷媒配管
冷媒配管は、冷媒を移送するための配管です。ビルマルチ空調方式などに用い、素材には銅管が使用されます。新しい空調方式として注目されています。

3:それ以外の配管

それ以外の配管として、ガス管、工場配管、輸送用機器の配管の3種類を紹介します。

・ガス管
ガス管は、調理器具・暖房器具などに都市ガス・LPガスを供給するための配管です。ガス会社の仕様に基づき、配管材が規定されています。以前使用されていた配管用炭素鋼鋼管(白ガス管)では、埋設部の腐食によるガス漏れが多発したため、現在ではポリエチレンで被覆した管(カラー鋼管、PL鋼管、PE管、PLP鋼管など)が使用されています。

・工場配管
工場配管は、製鉄所や化学工場、食品工場など、各種工場で用いられる配管です。原料や化学反応物、化学反応に必要な蒸気、水、燃料ガス、燃料油、空気、窒素ガスなどを移送します。材料の流体仕様、機器の仕様、運転方法など、工場内の複雑な条件を総合的に考慮する必要があります。

・輸送用機器の配管
輸送用機器の配管とは、船舶、航空機、車両などの輸送用機器で使用される配管です。例えば、船舶の代表的な管系に、清水管系、海水管系、燃料油管系、潤滑油管系、蒸気管系、圧縮空気管系、ビルジ管系(ポンプ室や機関室の底にたまる油や水などの配管)があります。輸送用機器の故障は人の命に関わるため、耐食性、耐圧性に加え、使用条件に適合した管材の選定が重要です。

4. 配管設備の構成

配管設備とは、流体を移送するために必要な部品・機器・装置のことです。配管の役割は、流体をある場所から他の場所へ移送することであり、管、管継手、弁類、管支持装置、保温塗装などが必要です。これらをまとめて配管設備といいます。

・管継手

管継手は、管と管を結合するための部品です。流れの方向を変えるだけでなく、管の分岐・合流、管サイズの変更、流れをふさぐなどの役割もあります。

・弁類

弁は、流体を移動させたり、逆流を防いだり、流れを止めたり、流量を調整したりする機能を備えた装置です。

・管支持装置

管支持装置は、配管を建物内の所定の経路上や、パイプラック上に支持するための装置です。振動抑制や耐震に特化したものもあります。

・保温塗装

保温塗装とは、配管の周りを囲う断熱材のことです。管内の流体を保温・保冷するために用い、冷媒配管や熱源水配管の場合、特に重要です。

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